自然身体構造研究所 編

第107号:

イチロー選手のバッティングを分析して壁の秘密を解き明かす

イチロー選手はワンバウンドのボールをヒットにしてしまうぐらい広角にどんなボールも打ち返すことができます。実はこの動きの秘密は前足側の強力な壁の構造にあります。今回はイチロー選手に着目して「肩の壁」について紐解いていきましょう。



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イチロー選手のバッティングを分析して壁の秘密を解き明かす

バリー・ボンズ選手の打法を軸足回転打法とすれば、イチロー選手は前足回転打法といえます。イチロー選手のような体の使い方でバッティングをするバッターにオリックスの谷選手がいます。ピッチャーで言えばソフトバンクの新垣投手などがおなじようなからだの使い方で投げています。どちらかというとイチロー選手はピッチャー的体重移動でバッティングをしているといえるかもしれません。 これはどういうことかといいますと他の選手より前足への体重移動を早く行い前足側の半身の回転軸で打っています。(写真1)

写真1 (写真1-クリックで見る事ができます。)

ピッチャーが脚を上げて前足を接地しその勢いを利用して投げる体の使い方と同じです。しかも膝の送りの大変上手い体重の乗ったピッチャーと同じ使い方をします。(写真2)

写真2 (写真2-クリックで見る事ができます。)

前足に完全に体重移動が完了している状態でフォロースルーになっていますから軸足が走り出す動きになり(前足の膝が曲がっている)打ってから大変早くスタートが切れるのです。(写真3)

写真3 (写真3-クリックで見る事ができます。)

このことがイチロー選手が走りながら打っているといわれるゆえんです。ですがこのように大きな体重移動をおこなうと通常つっこんでしまって変化球に全く対応できないことがおこります。ところがイチロー選手はワンバウンドのボールをヒットにしてしまうぐらい広角にどんなボールも打ち返すことができます。実はこの動きの秘密は前足側の強力な壁の構造にあります。前足に体重移動してしまっていてもボールのタイミングを計れる体の構造を使い切った動き方にあるのです。この動き方(壁の使い方)はすべてのバッティングの基本ですから良く覚えておいて下さい。 まず前足側の壁の働きには三つの部位が関係しています。膝、脇腹、肩甲骨です。 イチロー選手の場合前足を上げて前方に踏み出すとき、内旋をかけて普通の選手より多く移動していますが開きを内旋している事による時間差でかせいでいます。(写真4)

写真4 (写真4-クリックで見る事ができます。)

無理をして内旋をかけているわけではないので注意してください。次にリラックスして内旋していた前足は地面に接地します。この瞬間自身の体重の衝撃を吸収しようと膝関節が働き、膝の自動回旋による内向きのひねりがかかります。膝の壁の完成です。(写真5)

写真5 (写真5-クリックで見る事ができます。)

続いて脇腹の筋肉(肋関節)が縮みます。ちょうど肋骨がスプリングのように下方向に縮むとイメージしてください。(写真6)

写真6 (写真6-クリックで見る事ができます。)

ですから脇腹は開く運動ではなくて下向きの縮む運動をしているのです。脇腹の壁です。 更に肩甲骨のインナーマッスルの働きによる肩の開きを結果的に抑える腕の内旋運動が起こっています。(写真7)

写真7 (写真7-クリックで見る事ができます。)

肩の壁の完成です。 この三つのポイントが下から膝、脇、肩と順々に働くことによって開きを抑えることができます。普通の選手が形だけ真似をしようとして全身に力が入ってしまう為タイミングをずらされたボールに対応する事はできません。なぜならタイミングをずらされたときスイングを一瞬止めるための筋力が残っていないので、そのままへっぴり腰スイングをすることになります。 ここで注意して欲しいことはイチロー選手は力を入れて我慢して開きを抑えているのではないということです。膝は体重の衝撃を吸収する自動回旋であり脇腹は体重移動の衝撃による下向きの自然な動きであり肩は肩甲骨のインナーマッスルによる打つための内旋運動であるということです。開きを我慢するという意識ではこのようなことは起きないのだと思ってください。 またこのようなことを可能にするのは体の中心部の筋力による働きであるということです。前足が接地して膝の自動回旋が起きる瞬間体全体の制御は体の中心部にあります。(写真8)

写真8 (写真8-クリックで見る事ができます。)

この中心部の働きが脇腹の壁、肩の壁へと移動しインパクトの瞬間は前足側の軸と中心部の軸が一本に合体してスイングをしています。(写真9)

写真9 (写真9-クリックで見る事ができます。)

またイチロー選手の場合、膝の自動回旋が起こる前に体全体の制御が体の中心部にあるために、思ったより速かったりして中に入ってきてしまったボールに対しては、そのまま回転してスイングする時もあります。(写真10)

写真10

(写真10-クリックで見る事ができます。)

このようなときにホームランになっているケースが多いようです。イチロー選手はインパクトのポイントが前後に幅があるといえます。(写真11)

写真11

(写真11-クリックで見る事ができます。)

通常の選手が自分のポイントに入ってきたボールを打つのに対して前後に幅があるポイントで打っていることが、あの高打率を可能にしているのです。イチロー選手のようなスイングをする為には全身がくまなく動けるような体をつくる必要があります。そのための神経回路をつくらなければなりません。 当研究所で開発中の「インナーマッスル・ストレッチ&体幹体操(仮)」は動ける体づくりと神経回路構築のために開発しました。近日公開いたしますのでご期待下さい。


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(例:体の使い方について/トレーニンググッズについて)
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