自然身体構造研究所 編

第178号:

がんばれ上原投手(体重移動と両腕の逆回旋の動き)

ジャイアンツの上原投手はスムーズな体重移動から、筋肉の弾力性をつかった小さな腕の振り上げから全身を使った躍動感のリリースで投げていました。ところが2008年の今シーズンはそのボールのキレがまったく出ません。今回は五輪の代表選手にも選出されているので、なかなか調子の戻らない上原投手の原因とその修正方法を紐解いてみましょう。



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がんばれ上原投手(体重移動と両腕の逆回旋の動き)

「キレの良いボール」とはどんなボールを言うのでしょうか?
バッターの反応を見ますと、自分の打つタイミングより、ボールが早くポイントにきてしまったようにします。「あっ、」と思った瞬間にはキャッチャーのミットにボールが収まってしまったような感じです。

プロ野球を見ますと、150qを越える速球を投げるピッチャーでも、キレが悪いと打たれてしまいます。キレの良いボールを投げる方法の1つに、投げる動作のすべてがスムーズであるという事があります。フォームが流れるように、ボールがいつリリースされたのかわからない、蛇が地面を這うようにスルスルと投げます。ドラム式のピッチングマシーンのように、瞬間的にボールがリリースされるので、大変打ちにくいということになります。

ジャイアンツの上原投手はスムーズな体重移動から、筋肉の弾力性をつかった小さな腕の振り上げから全身を使った躍動感のリリースで投げていました。ところが2008年の今シーズンはそのボールのキレがまったく出ません。2軍落ちをして再調整をしても、なかなか調子が戻らないようです。上原投手は前足の筋肉の肉離れが癖のようになっていて、その恐怖心が原因ではないかと自己分析をしているようです。(写真1)

写真1 (写真1-クリックで見る事ができます。)

ピッチングはゴルフのスイングのように正確性を再現する能力が高い選手が良い選手なのですが、一度どこかでバランスが変わる(崩す)と全身がバラバラになってしまうことがあります。今回は緊急に五輪の代表選手にも選出されているので、なかなか調子の戻らない上原投手の原因とその修正方法をお伝えしたいと思います。

上原投手の不調の原因を大局的に言いますと、体重移動の位置エネルギーの効率が悪く、その事と、前足の筋肉の力や投げる腕の筋肉の力で補おうとすることです。(写真2)

写真2 (写真2-クリックで見る事ができます。)

フリーフットを上げた状態の位置エネルギーや、トップからリリースにかけての腕の遠心力のエネルギーは自然の物理的のエネルギーです。(写真3)

写真3 (写真3-クリックで見る事ができます。)

このエネルギーを上手く使えていない(または、逆らっている)状態がいまの上原投手です。

では、その動きを具体的に説明してみようと思います。まず、上原投手はフリーフットを上げてからヒップファーストへの体重移動の流れが変わりました。調子の良いときの動きはみぞおちの抜き(みぞおちの折り曲げ)を使い、素早く引き上げていました。その素早い引き上げの動きを反動にして、スムーズな体重移動が始動されていました。(写真4)

写真4 (写真4-クリックで見る事ができます。)

体重の位置エネルギーが落下して滑り台を滑るように、並進運動がおこっていました。(サイクロイド曲線)このみぞおちの抜きはフリーフットを腹筋の力で素早く引き上げているので、フリーフットそのものには無駄な力が加わっていません。
ところが不調時、このみぞおちの抜きがなく、フリーフットの大腿四頭筋や腹筋、腰筋などが過緊張して、ガチガチのまま振り上げているように見えます。その緊張のまま体重移動をしますから、自分の体重をそろそろと前方に運ぶように動きますので、位置エネルギーが使えません。(写真5)

写真5 (写真5-クリックで見る事ができます。)

そうすると位置エネルギーが使えない状態でフリーフットが接地しますから、投げる腕の筋肉の力やフリーフットの筋肉の無理な力で投げようとします。投げる腕は遠心力を使えず、グローブ腕と投げる腕の連動は崩れ、フリーフットの脚の筋肉も肉離れの恐怖感と 戦いながら無理やり力を入れるようにします。上原投手の身上のスムーズさはどこにもありません。益々キレの良いボールを投げられる状態にあらず、悪循環に陥っているのです。

上原投手は調子の良いときのフリーフットの接地の躍動感を気にしているのですが、いまはその事が戻らないようです。いまの体の使い方で脚の筋肉(フリーフット)に力を入れて投げようとすれば、肉離れはまた再発してしまうでしょう。
なぜなら、不調時と好調時のフリーフットのストロークがまったく違うのです。ポイントは先ほどのみぞおちの抜きがポイントになります。不調時はみぞおちの抜きがないことでフリーフットは股関節からのストロークになります。(写真6)

写真6 (写真6-クリックで見る事ができます。)

本来の好調時はみぞおちを抜く動きがフリーフットはみぞおちから下になり、ストロークが長くなります。(写真7)

写真7 (写真7-クリックで見る事ができます。)

この長いストロークでフリーフットが接地すれば、フリーフット側の背筋や大臀筋なども筋出力が加わり、躍動感のある脚の働きになるのです。(写真8)

写真8 (写真8-クリックで見る事ができます。)

この動きの方が身体の構造に沿っているので、無理な力を入れることなく大きな筋出力になり、故障もしにくくなります。

また、上原投手は位置エネルギーが使えない体重移動の感覚があるので、投げる腕の筋肉で無理に力を入れようとして投げています。この動きはグローブ腕と投げる腕の内旋外旋の動きを損ない、スムーズさを欠くことになります。(写真9)

写真9 (写真9-クリックで見る事ができます。)

力を入れる感覚は筋肉を緊張させることなので、この瞬間、投げる腕の振りは一瞬にぶる(止まる)動きになるのです。バッターはこの一瞬の動きでキレが良い悪いを判断します。この両腕の内旋外旋の動きを思い出して欲しいものです。背中側の肩甲骨の連動の動きに意識して投げるとこの感覚が戻るのではないでしょうか。(写真10)

写真10

(写真10-クリックで見る事ができます。)

まずはみぞおちの抜くフリーフットの上げから、スムーズな体重移動(サイクロイド曲線)、両腕の連動で投げていただければいいと思います。
上原投手とお知り合いの方はぜひ本人にお知らせください。


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